P60/120およびP90/160モルタルポンプ仕様表の読み方
P60/120・P90/160モルタルポンプ仕様表の解説。吐出量、配管圧力、垂直揚程損失、現場発電機容量の選定基準を詳しく比較します。
著者:Reliance Trenchless Technology読了目安:7 分

非開削マンホール更生工法の設備仕様を検討する際、施工業者は製品仕様表に記載された「P60/120」や「P90/160」といった型式表記をよく目にします。これらの数値を誤って解釈すると、現場で深刻な施工不良を招く恐れがあります。動力不足のポンプを選定すると深層ドロップシャフト内で圧送ホース閉塞やローターの過負荷停止が発生し、逆に過大仕様の設備を選定すると現場発電機が過負荷に陥ったり、吹き付け時の過剰なモルタル跳ね返り(リバウンド)が生じたりします。
Relianceモルタルスプレイヤーシステムには、高密度で繊維補強されたチキソトロピー性セメントモルタルを地上混合スキッドから地下人孔内へ圧送するために特別設計された重作業用一軸ねじポンプ(プログレッシブキャビティポンプ)が搭載されています。RelianceマンホールモルタルスプレイヤーのYouTube実機映像でも紹介されている通り、この自動施工システムは作業員が狭小な立坑内に入ることなく、直径600 mmから1800 mmまでの円形および矩形マンホールの内面ライニングを迅速に完了させます。P60/120およびP90/160仕様表の正確な読み方を理解することで、ポンプ吐出量、吐出圧力、発電機容量を現場の垂直深さや材料レオロジーに確実に適合させることができます。
型式表記の解読:P60/120とP90/160の違い
専門的なモルタル圧送技術用語において、型式記号は機械的な2大基本パラメーターを表しています:
第1の数値(公称吐出量 L/min):
- P60: 無負荷ベンチテスト条件下において、毎分最大 60リットル(3.6 m³/h) の練り混ぜモルタルを吐出します。 - P90: 毎分最大 90リットル(5.4 m³/h) を吐出し、大口径人孔や厚膜の複数層構造ライニング施工において50%高い容量を提供します。
第2の数値(定格圧力 bar):
- 120: スネークポンプのローター/ステーターおよびマニホールド配管アセンブリの最大常用/耐破裂定格圧力が 120 bar であることを示します。 - 160: 特殊補強加硫ステーターを備えた高負荷対応の 160 bar 圧力定格を示し、大きな垂直静圧揚程やホース内壁のせん断抵抗を克服するために設計されています。
ポンプとミキサーの仕様を明確に分離する
機器のデータシートを確認する際によくある間違いは、ミキサーの駆動モーター要件とスネークポンプ本体の所要動力を混同してしまうことです:
連続式強制撹拌バッチミキサー: 高トルクの遊星撹拌ブレードを作動させ、ポリマー添加剤を瞬時に解砕してダマのない均質なチキソトロピーペーストを調合します。モーター出力は通常 4.0 kW〜5.5 kW です。
スネークポンプ ローター/ステーター駆動部: インバーター可変速制御を採用し、吐出容積を高精度に調整します。P60/120 には 5.5 kW〜7.5 kW の主モーターが搭載され、一方 P90/160 には高背圧に抗して高比重スラリーを安定圧送するための強力な 11.0 kW 重作業用モーターが必要となります。
現場発電機容量のサイジング: 米国コンクリート工学会 ACI 506Rのガイドラインに基づき、誘導電動機の始動時突入電流を考慮して、現場の可搬式発電機容量は連続運転時定格kVAの2.5倍以上に選定する必要があります。完全なP60システムには最低25〜30 kVAの発電機、P90プラントには40〜50 kVAの三相電源が不可欠です。
管内水力摩擦損失とマンホールの垂直深度
スプレーヘッド先端における実効吐出圧力は、カタログに記載されたポンプ単体の無負荷理論吐出量とは決して同一になりません。モルタルの高い比重(約2.0〜2.2 kg/L)と擬塑性(せん断減粘性)粘度は、深度が深くなるにつれて流動抵抗を極端に増大させます。
NASSCOマンホール更生技術基準の計算指針によれば、総圧送圧力は2つの抵抗成分の合算によって算出されます:
ΔP_total = ρ · g · H + ΔP_friction
静止流体垂直揚程圧: 高比重の構造モルタル(ρ ≈ 2,150 kg/m³)の場合、垂直深さが10メートル増すごとに 2.11 bar の純粋な静的背圧が加算されます。
動的ホース管壁摩擦損失: 柔軟な圧送ホース内部の摩擦抵抗は内径に反比例します。水力曲線に示す通り:
- DN25(1インチ)ホース: 急激な圧力上昇を引き起こします(ホース長1メートル当たり > 1.2 bar/m)。垂直落差20メートルと地上配管15メートルを組み合わせると摩擦損失だけで45 barを超過し、P60ポンプを常用圧力限界に追い込み、ホース内でのモルタル急結(フラッシュセット)事故を誘発します。 - DN38またはDN50(1.5〜2インチ)ホース: 摩擦圧損を大幅に抑制でき(< 0.35 bar/m)、P90/160 システムを用いれば深さ30メートルを超える深層ドロップシャフト底部へも余裕をもって構造モルタルを圧送できます。
適用判断マトリクス:現場に最適なポンプ仕様の決定
設備の調達や現場搬入計画を確定する前に、以下の選定基準をご確認ください:
| プロジェクト条件 | P60 / 120 構成 | P90 / 160 構成 |
|---|---|---|
| 標準的な立坑深度 | 最大 10〜12 m まで | 12 m 〜 35 m 超 |
| マンホール内径 | Ø 600 mm 〜 1,200 mm | Ø 1,000 mm 〜 2,500 mm |
| 標準施工厚さ | 1パスあたり 10 mm 〜 25 mm | 25 mm 〜 50 mm 超の構造補強 |
| 圧送ホース内径 | DN25 / DN32 mm | DN38 / DN50 mm |
| 現場電源仕様 | 三相 380V/400V、約 25 kVA | 三相 380V/400V、約 45 kVA |
| 移動・搬送形態 | コンパクトスキッド / 牽引トレーラー | 大型産業トラック車載マウント |
英国HSE PUWER安全規格に従い、高圧モルタル圧送システムにはノズル閉塞時のホース破裂事故を防止するため、検定済みの破裂板マニホールドまたは電子式過圧遮断圧力トランスデューサーの装着が義務付けられています。
発注前に確認すべき技術情報
ご使用になる現場材料や人孔の構造寸法にモルタルポンプと吹き付けヘッドの組み合わせを完全に合致させるため、以下の技術資料を事前にご準備ください:
モルタル材料メーカーの技術データシート(TDS): 骨材最大粒径(P60は ≤ 2.0 mm、P90は ≤ 4.0 mm)、水セメント比、始発硬化時間。
最大施工深さ: 施工対象構造物のうち最も深い現場における地表面からインバート底面までの垂直高低差。
現場ユーティリティ設備: 商用三相電源から受電可能か、あるいは可搬式ディーゼル発電機を用意するか。
詳細仕様は Relianceモルタルスプレイヤーシステム製品カタログ でご確認いただくか、マンホール更生ポンプ・ミキサー・スプレーヘッド選定ガイド をご覧ください。個別のお問い合わせは モルタルスプレイヤー製品お問い合わせフォーム より承っております。
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